ウッドファイバー

公開日:2024/12/26
ウッドファイバー

森の恵みを生かし、北海道産のカラマツやトドマツを主成分とするウッドファイバーは、環境に配慮した国産の断熱材として注目されてきました。製造過程では、樹皮を燃料とするボイラーを活用し、化石燃料の使用を抑える工夫がされています。

このように自然と共生する理念にもとづいて作られ、その優れた性能とともに多くの人々に支持されてきました。今回はそんなウッドファイバーの特徴について紹介します。

吸音性能と蓄熱性能の両立

繊維系断熱材で多孔質材料のため、吸音性能と蓄熱性能の合わせ技で快適な住環境にしてくれます。

吸音性

音が私たちの生活に与える影響はとても大きく、騒音がストレスや疲労感をもたらすことがあります。

吸音とは、音を吸収し、反射させずに内部で消散させる機能を指します。ウッドファイバーは繊維系断熱材であり、多孔質な構造が特徴です。この無数の細かな穴が音を効率的に取り込み、その内部で音を拡散・吸収する役割を果たします。

とくに、話し声やテレビの音、さらには車のエンジン音や交通騒音など、日常生活で耳にするさまざまな音を抑える効果があります。これにより、室内環境は静寂が保たれ、家族間のプライバシーも守られやすくなるのです。

たとえば、集合住宅や戸建住宅の壁や天井に使用すれば、隣の部屋や外部からの音の侵入を大幅に軽減できます。騒音によるストレスを軽減し、静かな住環境を作りたい人にとって、理想的な素材といえるでしょう。

さらに、この吸音性能は快適な環境を整えるだけでなく、集中力を高める効果も期待できます。リモートワークや勉強部屋、音楽スタジオなど、静かな環境が求められる場所に使うことで、作業効率や快適さが向上します。

蓄熱性

もうひとつの大きな特徴が、高い蓄熱性です。蓄熱性とは、熱を吸収して溜め込む性質を指します。

寒暖差が激しい季節や時間帯では、室内外の温度差によるエネルギーの損失が問題となることがあります。しかし、ウッドファイバーは蓄熱性が高いため、暖房や冷房による熱を吸収し、ゆっくりと放出することで室温を安定させます。この蓄熱性は、快適な室温を保つだけでなく、冷暖房の使用頻度を減らし、省エネルギーにもつながります。

また、室温の安定は体調管理にもつながるのです。極端な寒暖差は体に負担をかけることがありますが、ウッドファイバーを使用することで、住環境の温度変化を穏やかにし、健康的な生活をサポートします。

高い吸放湿性能で家を長持ちさせるメカニズム

壁の中に発生する結露を抑制する高い吸放湿性能をもち、大切な家を長持ちさせる効果もあります。結露や湿度の問題は、建物の寿命や住環境の快適さに深く影響を与える要因ですが、そのリスクを大幅に軽減できます。

木の力で壁の中の湿度を整える

建物の中で結露が発生する主な原因は、外気温と室温の差が大きくなることです。寒い冬や湿度の高い梅雨の時期などでは、結露が壁の内部や建材に発生しやすくなります。

結露は見えない部分で起きることが多く、放置すると建物に深刻なダメージを与える可能性があります。

たとえば、結露による湿気が壁内部にカビやダニを繁殖させ、さらには腐朽菌やシロアリの発生を招くこともあるのです。これにより、建材が劣化して家の耐久性が損なわれるだけでなく、住む人々の健康にも悪影響をおよぼします。

しかし、ウッドファイバーは非常に高い吸放湿性能を有しています。この特性により、湿気を効率的に吸収し、必要に応じて放出することで、壁の内部や室内の湿度環境を快適に保つことができます。

とくに吸放湿性能が高いとされるセルロースファイバーや羊毛と比較しても、その性能で優れた結果を示しています。湿度を適切に管理することで、結露の発生を抑え、住環境を快適に保つだけでなく、建物そのものの寿命を延ばすことができるのです。

カビが発生しにくい

湿度が70%を超えると、カビやダニの発生リスクが急増します。これにより、室内の空気が不快になるだけでなく、アレルギー症状や喘息といった健康被害を引き起こす可能性があります。また、湿度が高いと、汗の蒸発が妨げられて体感温度が上昇し、不快感が増します。

しかし、ウッドファイバーはホウ酸を添加することで防カビ性能を強化しています。ホウ酸にはカビが発育しにくい特性があり、肉眼および顕微鏡下でもカビの発育が確認されていません。この防カビ性能により、健康的で清潔な住環境を保つことができます。

建物の壁内部でカビが発生すると、それが空気中に拡散し、住人の健康に悪影響をおよぼすこともありますが、ウッドファイバーはそのリスクを大幅に軽減できます。

高い防火性能がある

木材というと火に弱いイメージをもつ方もいるかもしれませんが、ウッドファイバーはその点でも優れた性能を発揮します。木材の特性として、燃焼時に表面が炭化し、それが延焼を防ぐ役割を果たします。この自然の特性に加えて、ウッドファイバーには難燃剤が添加されており、防火性能がさらに強化されているのです。

この高い防火性能により、火災が発生した際の延焼リスクを軽減し、建物の安全性を高めることができます。火災対策としての役割だけでなく、難燃性の高い建材を使用することで、安心して暮らせる住環境を実現できます。

夏でも冬でも快適に暮らせる

同じ室温でも、住む人が感じる暖かさや涼しさには大きな差があります。これは断熱材の種類や性能に大きく影響されるものです。この断熱材がもつ独自の特性は、一年を通じて快適な住環境を維持するための優れた選択肢です。

寒い冬でもあたたかい

冬の寒さにおいて、ただ空気を温めるだけでは快適な暖かさを実感するのは難しいことがあります。とくに体感温度は、室温だけでなく周囲の壁や床の温度にも左右されます。

ウッドファイバーを使用した壁は、輻射式暖房器具と相性がよいといわれています。輻射式暖房器具とは、薪ストーブや蓄熱ヒーター、オイルヒーターなど、赤外線の輻射熱を利用して周囲を暖める暖房器具のことです。

これらの器具から発せられる熱は壁に蓄えられ、時間をかけてゆっくりと放出されます。そのため、急激に室温が下がることなく、じんわりとした暖かさが持続するのが特徴です。

さらに、この断熱材の壁はまるで陽だまりのような自然な暖かさを感じさせる環境を作り出します。これにより、エネルギー効率を高めながらも快適さを保つことが可能となります。

暑い夏でも涼しい

夏の猛暑では、断熱材の性能が室内の涼しさを左右します。一般的に、断熱材の性能は「熱伝導率」によって評価されますが、ウッドファイバーの場合、熱容量の大きさが快適性を支える重要な役割を果たします。熱容量とは、断熱材がどれだけの熱を蓄えることができるかを示す指標です。

熱容量が大きい素材であるウッドファイバーは、日中に外気温が急上昇しても、壁がその熱を蓄えるため、室内温度の変化が緩やかになります。これにより、エアコンの使用を抑えながら快適な涼しさを維持できるのです。

また、夜間になると蓄えた熱がゆっくりと外に放出されるため、昼夜を通じて家の中の温度変化が小さくなり、安定した環境が保たれます。この特性は、暑さのピーク時でも家族全員が快適に過ごせる空間を作り出します。

健康や節約にも役立つ

単に気温の管理だけにとどまらず、健康面や家計にも大きな効果をもたらします。

まず、体感温度が快適であれば、暖房や冷房の使用頻度を減らすことができます。断熱性能が高いウッドファイバーを使用した住宅では、床や外壁、窓付近といった冷えやすい部分の表面温度も上昇するため、足元が冷たくなる心配が少なくなります。

この結果、体感温度が上がり、寒さによる不快感やストレスが軽減されます。とくに寒さが血行不良を引き起こしがちな高齢者にとって、健康面でのメリットは非常に大きいでしょう。

また、暖房器具やエアコンの使用回数が減ることで、エネルギー消費も抑えられます。これは電気代の節約につながるだけでなく、環境負荷の低減にも貢献します。健康的な暮らしと経済的なメリットを同時に享受できる点は、大きな魅力のひとつです。

高性能な断熱材を選ぼう

ウッドファイバーは、その吸音性や蓄熱性、吸放湿性能、防火性能といった多面的な機能で、高い評価を受けています。これらの性能は快適さと安全性を同時に提供し、家を長持ちさせるためにも大きな助けとなります。

ただし、ウッドファイバーは現在生産が中止されています。断熱材を選ぶ際には、性能に配慮された他の素材を選ぶことが重要です。環境と住む人の健康を考えた選択が、未来の暮らしを豊かにしていくでしょう。

ウッドファイバーの基本情報

会社名スマートパワー株式会社
住所神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4-33-1 ナイスビル6階
電話番号TEL:045-501-8511

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【ジャンル別】住宅用断熱材

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イメージ
引用元:https://www.germanhouse.co.jp/gutexjapan/

引用元:https://www.decos.co.jp/cellulose

引用元:https://www.pinalform.jp/

引用元:https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/insulation/jneoma/index.html

引用元:https://www.isover.co.jp/

引用元:https://www.itnjapan.com/

引用元:https://www.n-aqua.jp/products/aquaform/
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